生活習慣を立て直そう!

Reform Your Life Habit!

 生徒たちや保護者の方々と面談していると、君たちの生活が健康の原則からかなり外れた状態になっていることがわかる。健康は、身体ばかりではなく、脳や心にも大きく関わるものだ。だから、健康が崩れると、効果的に学習することもできなくなるし、取り越し苦労のような、本来、悩む必要がないことまで悩むようになってしまう。ひどくなると、朝、起きることもめんどうになるし、学校にも行きたくなくなる。「気鬱」というやつだ。
 でも、どうしてこうなってしまうのだろうか?
 PTSDを引き起こすような外部的な原因があるなら、かなり強硬な対応が必要になるだろうけれど、どうも思い当たることがない。きちんと学校に行き、さまざまな活動に取り組み、山手学院にもしっかり通っているのに、どうして元気がないのだろうか?
 学習もなかなか捗らないし、できるようになっているのか、不安を感じてしまう。もう、なにもかも、投げ出してしまいたい!
 新型コロナの感染が蔓延する現状に対して、君たちの気分が落ち込んでいることはまちがいない。世界中の人たちの心に新型コロナの蔓延は大きなストレスを与えている。
 生徒たちと面談していて、すぐに気づくことは、みんな、就寝時間が遅くなっていることだ。むかしの言葉でいえば、「宵っ張りの朝寝坊」で、朝になっても疲れが取れない状態になっている。学校生活を送っている以上、朝、7時前後に起きているだろうから、睡眠をコントロールするホルモン「メラトニン」の分泌は、「メラトニンの分泌量」のグラフのようになる。メラトニンは、起床して太陽の光に触れてから、約15時間後、脳の松果体から分泌され始める。君たちの場合、夜12時から4時のあいだ、ノンレム睡眠のときにピークに達する。このとき、熟睡していれば、成長ホルモンが放出され、脳を含む全身の細胞が生成・成長・修復される(睡眠のリズムの図)。
 ところが、宵っ張り(夜更かし)の習慣がついてしまうと、メラトニンも成長ホルモンも放出されないので、脳や身体の細胞の成長や修復が行われず、疲労がそのまま残り、朝、スムーズに起きることができなくなる。
 また、寝る前のテレビやパソコンやスマートフォンなどの視聴や使用は、メラトニンの分泌を止め、睡眠を浅くし、成長ホルモンの分泌を妨げる。したがって、朝になっても、疲れがとれないので、なかなか起きられない。
 ブルーライトと眼の問題は議論があるので触れないが、光がメラトニンの分泌を抑制することは証明されている。夜、いつまでも電子機器の画面を見つめていると、君たちは、いよいよ眠れなくなってしまう。
 君たちの生活習慣の基本は、あくまで「早寝早起き」である。メラトニン、睡眠、成長ホルモンの仕組みがわかれば、「早寝早起き」の重要さが理解できるだろう。
 「宵っ張りの朝寝坊」は、完全に悪循環の状態だ。
 さっそく、「早寝早起き」を心がけて、自分の生活習慣を立て直していこう!

山手学院 学院長 筒井 保明